12月16日(金)東京理科大学葛飾キャンパスにて、
第2回の産学連携講座が東京理科大学トライボロジーセンターとの共催 で開催されました。
今回のテーマは、駆動技術開発を支える最新技術 です。
第1回目が、伝統的な駆動技術の紹介やCVTを創った技術者達というような過去を振り返る企画でしたので、
今回は、未来や最新技術にフォーカスしてみました。
今後、産学連携講座は、過去と未来を行き来しながら、
産学が一緒になって未来を創り出すという思いを込めた企画にしたいと思っております。
第1部は産学双方からの講演会。そして第2部は学生へのプレゼント企画として
駆動系ユニットのカットモデル展示(説明員付き)と、人事担当者による業界説明会を企画しました。
リアルな”モノ”を囲んで、どれだけその場が盛りあがるのか?我々にとってはとても心配な企画です。
イベント当日は、多くのステークホルダーのご支援もあって、総勢約560名の方が、
それぞれの手段で講座に参加してくださいました。
ちなみに現地では約120名の方に参加していただきました。
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第1部の講演会は、3名の講演者の方にお願いしました。
1人目は、マツダの山王丸さんです。
山王丸さんは、マツダ内でモデルベース開発を推進する職場に所属されており、
CAEを活用した設計検討をされています。
CAEは、その操作方法を覚えてしまえば、なにかしらの答えを得られる魔法のツールです。
しかし材料力学等の基本的な学問を学んでいないと、CAEにもてあそばれてしまうという
そのリスクについてご講演いただきました。
真の意味でCAEを活用できる、そのためには基礎学問に立ち返ることの重要さを
教えていただきました。
続いて2人目は、トヨタの棚瀬さん。
棚瀬さんは、トヨタのパワートレーン職場において、開発手法の開発を行っている方です。
今回は、すでに各種学会でも報告されている
”医療用CTスキャンを活用した駆動ユニット内部の油流れの可視化&定量化技術の開発” について
ご講演いただきました。
駆動系技術開発に医療系のCTスキャン??なにそれ????
異業種の設備の理解、そしてその導入、運用するソフトウェアの開発等々・・・
多くの苦労があったのだろうと推察されます。
産の中では、大学の学部学科を越えた様々な技術や学問が応用されているといういい事例でした。
しかしまあ、ダイナミックですが、繊細な技術ですね・・・
三人目は、名古屋工業大学 平田晃正先生のご講演です。
平田先生は、現在新型コロナウィルス感染者数AI予測で、世間から引っ張りだこの超人気の先生です。
なんとイベント当日も、メディア対応を終えてからの現地参加。・・・ありがとうございます。
とても興味深い内容と先生のお人柄を感じ取ることのできる楽しいご講演でした。
先生のご専門は、物理だそうですが、今回は予測手段としてのAIを学び、
多くの研究者たちと連携しながら、精度高い感染者予測をなさっています。
ご講演の中で特に興味深かったのは、コロナ禍におけるヒトの行動予測です。
学生さんからの質問にもありましたが、SNS等の投稿から”飲み会”という名詞をピックアップし、
それにつながる動詞、例えば、「”飲み会に行く”」、「”飲み会は止めておく”」などを選別し、
行動予測の精度を高めるという ”なるほどね~” と思えるような事例を教えていただきました。
そして、駆動技術というトラディショナルな技術の中でも、
AI等の新しい手段でより精度高く効率の良い開発ができること、
そしてやはりベースとなる基礎学問の大切さを我々に教えてくださいました。
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さて、第2部は、駆動系ユニットを囲んでの産学交流会です。
私は、会場ホール内でいくつかの対応を済ませた後、第2部会場が盛り上がっているかどうか
内心ドキドキしながら向かいました。
おぉぉぉぉ!盛りあがっているじゃあ~りませんか? しかも予想以上に!(笑
TRAMIの技術者たちが、トランスミッションのカットモデルを囲んで学生に技術説明をしています。
学生さんも食い入るように(私には・・・そう見えた)質問しています。
各社人事の皆さんも、ここぞとばかりに学生を囲い込んでいる・・・(笑
企画としては予想以上の盛り上がりを見せ、企画側をほっとさせてくれました。
先生からは、「これ、半日のイベントではなく、2,3日このまま展示しておいてよ~」
”(心中)・・・さすがに無理です・・・” 。 とてもうれしいコメントをいただきました。
我々からすると、珍しくもないトランスミッションのカットモデルがこんなに注目されるとは・・・正直驚きです。
とてもうれしくなり、そしてまだまだTRAMIの産学連携を活性化できるぞ!と、
手ごたえを感じることができました。
最後にとてもうれしい情景が目に入ってきたのでお伝えしておきます。
ある学生さんが、ひとりの講演者を捕まえて質問攻めにしていました。
講演者は近くにあったベンチに腰掛け、PCを開き、学生の質問に真摯になって答えていました。
こういう風景が、会場にいくつか見られたのです。
まさにこれが、TRAMIがイメージする産学連携のカタチなのではないか?
産と学が、互いに一歩ずつ、半歩でもいい、歩み寄れば、まだまだこの日本にあたらな価値を生み出せる・・・
そういう可能性を感じた一日でした。
最後に、ご講演いただきました皆様、ご協力いただいた佐々木先生、研究室の学生の皆さん、
各社人事担当の皆様、運送業者様・・・そしてTRAMI事務局&運営委員の皆様、
多くの皆様に、感謝の気持ちを込めてお礼を伝えたいと思います。
・・・ありがとうございました。
運営委員(K.Y)